2021年6月13日日曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第二回 "サンキュー"

再び代表のMasaです!

今回の楽曲解説は、アルバム6曲目に収録されている "サンキュー" 。

2年前に7インチでリリースしたピチカート・ファイヴの1991年の名曲カヴァー

です!



今回は、カヴァー曲をあまりやらない Q.A.S.B. がどうしてこの曲のカヴァーをこのアルバムに収録するに至ったかという経緯について少々お話ししたいと思います。


その前に・・・

                ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


前回のアルバム "Thinking Of You" に収録されている "You Make Me Feel" という曲があるのですが、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんがこの曲を非常に気に入ってくださっていて、レコードショップ JET SETさんの2017年の年間ベストディスクの2番目として、この曲がB面に収録されている7インチシングルを選んでいただいたほどでした。ありがたや・・・

いつかお礼を言いに行こうと思っていたところ、2018年の4月でしたが、渋谷宇田川町の Organ Bar で毎月第三金曜日に開催されているイベント ”A (エース)" (現在休止中)に初めて遊びに行きました。

第三金曜日の晩は、渋谷 The Room で RYUHEI THE MAN さんが主催するイベント "Honny Drippin'" と " Sound & Friend" が隔月で開催されていたので、それ以降、僕はよくハシゴして "A" にも顔を出すようになりました。初めの頃はアウェイ感満載でしたが(笑)、小西さんもいろんな方を紹介してくださったり、新参者の自分にもよく話しかけてくれるようになりました。

たまに Twitter (アカウントは Soul Garden Records でしたが)のメッセージでやりとりもあって、先のアルバム "Thinking Of You" のラフミックスを聴いていただいた際に、

「Q.A.S.B. の音楽の良さは、ギミックのない自然さだと思う。もっと活動の幅を広げるには、日本語の曲、有名なカヴァー曲とかやってみては?」

というアドバイスをいただいたことがありました。

そんな流れで、その年の夏の "A" の時、

「カヴァーする日本語楽曲って、どんな曲がありますか?オススメの曲があったら是非教えてください!」

と軽い気持ちで聞いてみたところ、ちょっと間をおいて、

「ピチカートとかどう?」 

と返事が!!!

(えーー!。。。)

となってしまいました。

マニアがたくさんいて、下手なカヴァーなんかやったらどれだけ叩かれるかもわからない、そんなピチカートの曲をカヴァーするというのは、それはあまりにも無謀だと思い、

「それは・・・ちょっと畏れ多いです。。。」

と一旦はお断りしたのですが、

「もし、Q.A.S.B. でカヴァーしくれたら本望です」

とまでおっしゃっていただいたので、これは後に引けなくなったと思い(汗)、イベントの帰り間際にご挨拶をした時には

「是非やってみたいと思います!」

お返事させていただきました。


・・・ということで


Q.A.S.B. でカヴァーするとしたらやはりソウル っぽい曲が合うからとおっしゃって「こんな曲あるよね」みたいな話をしたり、その後、ご本人から候補曲のリスト(数えたらなんと14曲も!その中には  "サンキュー" と、7インチのカップリングに収録する "ウィークエンド" も入っていました。)もいただいたりして盛り上がった記憶があります。

"サンキュー” のアレンジは、エンディングを除いてほぼ原曲の構成に近いのですが、リズム・サウンド的には Q.A.S.B. らしい70年代の Soul Music らしさを押し出せたんじゃないかなと思います。

デモ作りも、それこそ「自然に」ほとんど時間をかけずにできました。

B面に収録する "ウィークエンド" も決まって、2019年の夏の "A" で、7インチのプレスが出来上がる前にCD-Rをお持ちしたのですが、なんとその場で "サンキュー" をプレイしてくださって、居合わせた方からも

「ちゃんと Q.A.S.B. サウンドになっている♪」

と言っていただきホッとしました。


                ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


ところで、アレンジのプレッシャーはもちろんありましたが、それよりももっとプレッシャーだったのはヴォーカルの a,yu.mi. だったのは間違いないところで(ホントありがとう!!!)、メインヴォーカルだけでなくコーラスのメロディーライン(音程と譜割)を忠実に再現するのはめちゃめちゃ大変だったと思います。特に、全部で3回出てくる3声のコーラスが輪唱のように絡み合う箇所は、毎回パターンが少しづつ異なっていて、僕も譜面を起こして何度も確かめました。

ヴォーカルなしのデモを聴いていただいた時の小西さんの反応は正直それほどではなかったのですが、ヴォーカル入りのデモを聴いてくださった時は絶賛してくださった時はめちゃめちゃ嬉しかった・・・


そんなわけで秘話的なお話をしましたが、最後に7インチをリリースした時にありがたくも小西さんご本人からいただいたヴォーカル絶賛のコメントをこちらに再掲します。

そして、ピチカート・ファイヴの楽曲をカヴァーさせていただいたこと、そして今回のアルバムに収録を許諾していただいたこと、改めまして小西康晴さんに感謝申し上げます!

(全然「楽曲解説」になりませんでしたが。。。)


♪ ♪ ♪ ♪ ♪


あなたには希望の匂いがする。小西康陽

 ここ数年、ずっとヘヴィ・プレイしている「You Make Me Feel」という曲を作ったQ.A.S.B.が、じぶんがかつてやっていたピチカート・ファイヴの楽曲をカヴァーする、というアイデアを聞いて、じぶんは驚き、嬉しくなり、そしてすこし怖くなった。

 いちばん好きなバンドである彼らが、じぶんの作った楽曲を取り上げてくれるなんて、嬉しくてたまらない話だが、いっぽう、もし気に入らない出来だったらどうしよう、いつも本当にジェントルで優しいリーダーの石川さんや、素晴らしいヴォーカリストのa.yu.mi.さんたちと、ちょっとギクシャクした関係になってしまうのだろうか。そう考えると、やはり怖くなってしまうのだった。 

 だが、そんな心配は杞憂だった。「サンキュー」と「ウィークエンド」、どちらもじぶんにとってはつよく思い入れのある楽曲。「サンキュー」を作ったときの、全世界に対して「ノー・サンキュー」と言いたくなるような屈折した感情。あるいは「ウィークエンド」を作ったときの、まるで職業作家の仕事のごとく端正なものをつくった、という、うれしいような、面映いような感情。そうしたものはまだ、じぶんの中にはっきりとしたかたちで残っている。そんな作家の個人的な屈託を、彼らQ.A.S.B.はじつにあっさりと、うつくしく見事に乗り越え、じぶんたちの音楽にしている。

 とりわけ、ヴォーカリストのa.yu.mi.さんの歌う日本語の瑞々しさには驚き、彼女とこのバンドの将来に大きな可能性を感じた。たとえば「トワエモア」の白鳥英美子さんや「ハイ・ファイ・セット」の山本潤子さんなどに通じる清潔な日本語の発音を持ちながら、ファンキーなビート感を持つこのバンドのサウンドともしっかり寄り添っている。プロフェッショナルなソングライターなら、素材としての彼女とこのバンドに、なにか楽曲提供してみたい、と誰しも考えるに違いない。

 あなたに逢えてよかった、あなたには希望の匂いがする、というのは、かつて和田アキ子さんが歌った楽曲の一節だが、まさか大昔にじぶんの書いた楽曲を通して、そんな「希望の匂い」と出会うことになるとは。Q.A.S.B.には感謝するばかりだが、いまのじぶんにできることはそう多くはない。ひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、彼らの音楽の素晴らしさを知ってもらいたい、と願うばかりだ。


■ Candy Dream (CD) お取り扱い

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Tower Records 

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山野楽器

芽瑠璃堂







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