Tokyo based funk/soul group,Q.A.S.B.'s Official Blog

2022年4月18日月曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第六回 "Baby Soul"

長い企画ですが、まだ続いているアルバム楽曲紹介シリーズ。今回紹介する曲はアルバム4曲目の "Baby Soul" ♪アルバム中、唯一のミッドテンポのフリーソウルです。

今度の 4月23日の ”レコードストアデイ2022” でも7インチでリリースされますので、7インチも是非ゲットしてみてください!


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ヴォーカル/作詞の a.yu.mi. が、ここ最近(と言ってももう数年前ですが)身近にいる音楽仲間にもお子さんを持つようになった方々が増えてきて、新しく生まれる小さな命を称えたり、そういった気持ちを育むような歌を作りたいということを言っていて、いくつかあったデモ曲の中から選んでもらって "Baby Soul" が生まれました。

そしてそんな a.yu.mi. 自身もつい先日小さな生命を宿すことになったということで、無事に元気な赤ちゃんを産んで欲しいものです!

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曲の方ですが、調整(キー)がシームレスに揺らぐものの、穏やかなメロディーによって穏やかな多幸感溢れる曲。

ちなみに作詞者によると Q.A.S.B. の曲(多分僕が作る曲ということだと思います)は多幸感ある曲が多いらしいのですが、それはせめて音楽の世界だけでも夢を見させてくれという潜在的な何かが現れているんでしょう。多分。

明るい曲ばかり書いていたモーツァルトだって、実生活は一生就職できずに極貧のうちに若くして亡くなってしまったことだし。ま、並べて論ずるのも烏滸がましいですが・・・

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それと、この数年取り組んでいた「一つの楽曲の中で異なるリズムや様式を組み合わせる」というアイディアをこの曲でも試みていて、二回ある間奏部分に8ビートを挿入しています。

この部分については小西康陽さんから、シカゴのファーストアルバム (1969) 収録曲の "クエスチョンズ67/68" (動画の2:47あたり)を想起させる」というコメントをありがたくもいただきました。

◆◆◆◆◆

そんな背景もあったということも踏まえて聴いていただけたらと思います♫


◆◆◆◆◆

歌詞掲載します☆

朝の優しい陽射しがきみを包み

頬に溢れるひかりをそっとなぞる

あたたかくやわらかな時間の中で

紡ぎ合う愛しさはかけがえのない

たった一つだけの

たった一度だけの

たった一人だけの

You, you are always in my mind


小さなその手に握りしめた希望の

花が咲く様にいつも見守っていたい

喜びも悲しみも全てを包み込める

たった一つだけの

たった一度だけの

たった一人だけの

You, you are my baby soul in my life


穏やかな優しさは変わることない

たった一つだけの

たった一度だけの

たった一人だけの

You, you are my baby soul in my...


たった一つだけの

たった一度だけの

たった一人だけの

You, you are my baby soul in my life


たった一つだけの

たった一度だけの

たった一人だけの

You, you are my baby soul in my life

You are my baby soul in my life

You are my baby soul in my life

You are my baby soul in my life

You are my baby soul in my life


2022年2月23日水曜日

"Will / Will (English)" 7インチ リリースします♩

代表の Masa です!


今回のブログは、今日リリースする7インチの "Will" の楽曲解説


  

ではなく、曲完成にまつわる話をしたいと思います。
(まだ、アルバム "Candy Dream" の解説は未完ですが・・・)

☆★★★★

まだヴォーカルが Amy A の時だったので6〜7年くらい前でしたでしょうか(もっと前だったかもしれません)、Herbie Hancock の "I thought It Was You" をカヴァーしようという話がありました。

当然7インチ化を考えていたので Side B をどの曲にしようかと考えていた時に思い当たったのが、笠井紀美子さんが Herbie Hancock と一緒に作ったアルバム 「Buttefly」に収録されている "Harvest Time" という曲でした(この話はメンバーに話したことはあったかもですが、恐らくみんな忘れているでしょう(笑))。

ご存知の通り、このアルバム「Butterfly」には "I Thought It Was You" も収録されています。



この曲はヴォーカルとピアノだけというシンプルな編成(それ故、素晴らしい録音になったというのもありますが)なので、バンドアレンジする意味もあるだろうと思ったのが選曲の理由でした。

ただ、LPには歌詞カードがなく、クレジットから、どうやら作詞は Herbie Hancock のお姉さん (Jean Hancock) が書いたらしいということがわかり、色々と手を尽くした結果、もう少しで辿り着けそうに。

★☆★★★

ところが、この7インチ計画はあることがきっかけで頓挫してしまいました。。。

途中まではデモも作っていたので没にするにはもったいないなと思い、デモに当てていたイントロ(この部分は Herbie Hancock の原曲のコード進行を変形させ、それにフレーズを乗せて作りました)を残し、時を経て新たに作ったのが今回リリースする "Will" というわけです。

★★☆★★

ということなんですが・・・・

実は、日本語歌詞(下記掲載)でいう「星の見えない夜も〜」、そしてホーンによる間奏後の「吹き荒ぶ風に〜」からエンディングまでは、これもまだ Amy A がいた頃に出来ていた別の曲の一部で、実際にリハーサルでも何度か練習しました(これは覚えているメンバーもいるかも??)。

つまり、6〜7年前に始まり長い道のりを経てようやく完成したという曲でした。
だからと言って、完成まで苦労したとかそういうことではないです。それ以上に没にしている素材は山ほどあります(笑)。

こちら是非聴いてみてください♪





★★★☆★

歌詞を全編掲載しておきます☆


Will

小さな緑が芽吹き始めて
そばには桃色の花微笑む

泣かないで私の愛しい人よ
木漏れ日のその先には光が
同じ空見上げているから

星の見えない夜も
鮮やかな朝も
変わらぬこの場所で
So don't cry, my dear…

吹き荒ぶ風に散り散りになりそうな日も
強く優しく咲いて

I will remember the moment, forever and ever.
I will remember the moment, forever and ever.
I will remember the moment, forever and ever.
I will remember the moment, forever and ever.
I will remember the moment, forever and ever.
I will remember the moment, forever and ever.

---------------------------------

Will ~English~

If you need me
If you call me
I'll be there in a hurry
Anything you need, I’ll give it to you
Always come to me

When one door of happiness closes,
Another one will open
So don't be afraid and let it go
'Cause you're not alone

I'll never forget the time with you,
Forever and ever
All I want is to see you smile

Even though we're far apart,
When I look up at the sky,
I know we're both looking at the same star
So don't cry, my dear

All I want is to see you smile
Even though we're miles apart,
When I look up at the sky,
I know we're both looking at the same star

I will remember the moment, forever and ever
I will remember the moment, forever and ever
I will remember the moment, forever and ever
I will remember the moment, forever and ever
I will remember the moment, forever and ever
I will remember the moment, forever and ever

2021年11月5日金曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第五回 "Wolf(Instrumental)"

サックス担当のUzoこと、ユウゾーです。久々の投稿!

10/16に5作目のアルバム、”Candy Dream”がリリースされまして、そんな流れで今回もアルバムの中の曲から楽曲解説させていただきます。

解説する楽曲は、本アルバムの中で唯一私が作曲してます”Wolf (Instrumental)”。

この曲は、いつどこだったかは記憶していないのですが、どこかの小箱でDJさんがEsperantoバージョンの”Night of the Wolf”をプレイしたのを聴いて感銘を受けたことがきっかけで作曲しました。

Spotifyですが、楽曲のリンクはこちら。



実は、誕生日を言い訳にわがままを言って、”Night of the Wolf”そのもののカバーをQ.A.S.B. でやってもらったこともあります。その時はサックスをフルートに持ち替えてプレイしましたねぇ。

「Q.A.S.B. もオリジナルの楽曲でこんな胸アツな曲をやってみたい!」

そう思って作りましたが、聴く人が聴くと、完全にどの曲のオマージュなのかわかってしまうくらいの仕上がりに!

そんな感じなのですが、この曲、編曲がなかなかうまく行かなくてボツになりそうになっていた時もありました。
もうお蔵入りという直前に、とあるDJさんから絶対にやったほうがいいと励まされて、あと、ボーカルのa.yu.mi. さんからの後押しもあって、日の目を見ることができています。ほんとにボツにしなくてよかったし、感謝感謝です!

そんな”Wolf (Instrumental)”ですが、スタジオライブが配信されております!是非是非、いかに”Night of the Wolf”をオマージュしているか聴いてみてください!

2021年10月28日木曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第四回 "Candy Dream"

おかげさまでアナログLPは先週無事に発売されました!

ということで、今回の楽曲解説はアルバムタイトル曲 「Candy Dream」♬



この曲は 2年前にピチカート・ファイヴのカヴァーをアレンジしていた時に完成した曲。

とは言え、最後の最後に出てくる大サビのメロディーは、2015年のボイスレコーダーにメモってあったので、実は時間をかけてゆっくりと熟成させてできた曲かもしれません。

アルバム収録曲の中でもシティポップ感のある仕上がりになっています。


「2度と取り戻せない過去の恋愛体験を振り返る切ない心持ち」というテーマで a.yu.mi.に歌詞を作ってもらいました。


オルガンで演奏される物憂げな前奏に続いて、 ”Everlasting Love” ♬ の上昇音階によるリフレインは、メジャースケールとマイナースケールを行き来していて、これも心の揺れを暗示します。


本編に入ると明るくなりますが、サビでちょっと影が差し、終盤の大サビで時間の残酷さを認識するという・・・


🍭 🍭 🍭 🍭 🍭

この Candy Dream という題名はヴォーカルの a.yu.mi. が名付けたタイトルですが、(私的なことで恐縮ですが、)どうしてもフランスの映画監督ジャック・リヴェットによる『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974年)を思い出さざるを得ません。



ざっと内容を説明すると・・・


セリーヌとジュリーという二人の女性がキャンディーを同時に舐めると、キャンディーが口の中で溶けるまでの間、「幻想の館」に入り込むことができるのだが、その館の主人の一人娘に対してすでに行われてしまった殺人事件が起こる。キャンディー(もしかしたら途中から薬だったかも?)を何度か舐めることによって、「幻想の館」に入り込む時間を捻じ曲げてその娘を救い出すというもの。



映画は全くもって、恋愛物とは無関係なファンタスティックな探偵物ですが、楽曲の Candy Dream でも、「キャンディーを舐めると過去の甘い思い出に浸れるが、溶けてしまうと現実に引き戻される」という、存在が危ういものの象徴である Candy (=魔法) には変わりません。

ということで、話は脱線しましたが、土曜日にライブがあります。もちろん、"Candy Dream" も演奏します♬


【ライブ情報】

======================

2021.10.30 sat

FALL in MUSIC

@渋谷UNDER DEER Lounge



open 15:30

door 2500円(+1D)

adv 2000円(+1D)

【LIVE】

Q.A.S.B.

木村イオリ×元澤ヒロヨシ

JAKE

NADEGATA & LOVING HEART LOS

【DJ】

Masayoshi Kimura (in the mix)

COOLG

pan

daikiti

2021年10月6日水曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第三回 "Shaky Shaky"

代表のMasaです♪

楽曲解説もリリースが近くならないとやる気にならず(すみません〜)、結局のところ、ついにアナログアルバムのリリースまで10日となってしまいました。。。

今回はアルバムの2曲目 "Shaky Shaky" です!

キャッチコピーにはわかりやすく「JB ファンク」と書いたものの、歌詞のナンセンス(と言っては怒られてしまいますが・・・)な内容もあって、かなりお茶目な”お囃子”になってます。

イントロは、わかる人はすぐわかる、そう、Johnny Pate のあの有名なサウンドトラック

Shaft In Africa

を引用しています。

中盤は、メンバー紹介のような形で

サックス → ギター → ドラム → ベース

とソロ回しが続くのもライブ感を演出しています。


ライブ感といえば、こちら!

なかなかライブができないこの状況の中で、Studio Dedé さんの協力のもと、ライブ動画を作成しました。アルバム収録曲をほぼ網羅していますが、"Shaky Shaky" はライブ感が割り増しです(笑)。

これから他の楽曲のライブ音源もどんどん追加アップしますので、楽しみにお待ちください!

チャンネル登録もお待ちしています。

* * * * *

■ LPお取り扱い

■ CDお取り扱い


■ リリース情報
Artist : Q.A.S.B.
Title : Candy Dream
Format : CD/LP
品番:SG-075 / SG-076
JAN CODE :4573593180757 / 4573593180764
価格 : 2,750円 (税込) / 3,300円(税込)
発売日:2021.04.28 / 2021.10.16
Label : Soul Garden Records

2021年6月13日日曜日

アルバム "Candy Dream" 楽曲解説 第二回 "サンキュー"

再び代表のMasaです!

今回の楽曲解説は、アルバム6曲目に収録されている "サンキュー" 。

2年前に7インチでリリースしたピチカート・ファイヴの1991年の名曲カヴァー

です!



今回は、カヴァー曲をあまりやらない Q.A.S.B. がどうしてこの曲のカヴァーをこのアルバムに収録するに至ったかという経緯について少々お話ししたいと思います。


その前に・・・

                ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


前回のアルバム "Thinking Of You" に収録されている "You Make Me Feel" という曲があるのですが、ピチカート・ファイヴの小西康陽さんがこの曲を非常に気に入ってくださっていて、レコードショップ JET SETさんの2017年の年間ベストディスクの2番目として、この曲がB面に収録されている7インチシングルを選んでいただいたほどでした。ありがたや・・・

いつかお礼を言いに行こうと思っていたところ、2018年の4月でしたが、渋谷宇田川町の Organ Bar で毎月第三金曜日に開催されているイベント ”A (エース)" (現在休止中)に初めて遊びに行きました。

第三金曜日の晩は、渋谷 The Room で RYUHEI THE MAN さんが主催するイベント "Honny Drippin'" と " Sound & Friend" が隔月で開催されていたので、それ以降、僕はよくハシゴして "A" にも顔を出すようになりました。初めの頃はアウェイ感満載でしたが(笑)、小西さんもいろんな方を紹介してくださったり、新参者の自分にもよく話しかけてくれるようになりました。

たまに Twitter (アカウントは Soul Garden Records でしたが)のメッセージでやりとりもあって、先のアルバム "Thinking Of You" のラフミックスを聴いていただいた際に、

「Q.A.S.B. の音楽の良さは、ギミックのない自然さだと思う。もっと活動の幅を広げるには、日本語の曲、有名なカヴァー曲とかやってみては?」

というアドバイスをいただいたことがありました。

そんな流れで、その年の夏の "A" の時、

「カヴァーする日本語楽曲って、どんな曲がありますか?オススメの曲があったら是非教えてください!」

と軽い気持ちで聞いてみたところ、ちょっと間をおいて、

「ピチカートとかどう?」 

と返事が!!!

(えーー!。。。)

となってしまいました。

マニアがたくさんいて、下手なカヴァーなんかやったらどれだけ叩かれるかもわからない、そんなピチカートの曲をカヴァーするというのは、それはあまりにも無謀だと思い、

「それは・・・ちょっと畏れ多いです。。。」

と一旦はお断りしたのですが、

「もし、Q.A.S.B. でカヴァーしくれたら本望です」

とまでおっしゃっていただいたので、これは後に引けなくなったと思い(汗)、イベントの帰り間際にご挨拶をした時には

「是非やってみたいと思います!」

お返事させていただきました。


・・・ということで


Q.A.S.B. でカヴァーするとしたらやはりソウル っぽい曲が合うからとおっしゃって「こんな曲あるよね」みたいな話をしたり、その後、ご本人から候補曲のリスト(数えたらなんと14曲も!その中には  "サンキュー" と、7インチのカップリングに収録する "ウィークエンド" も入っていました。)もいただいたりして盛り上がった記憶があります。

"サンキュー” のアレンジは、エンディングを除いてほぼ原曲の構成に近いのですが、リズム・サウンド的には Q.A.S.B. らしい70年代の Soul Music らしさを押し出せたんじゃないかなと思います。

デモ作りも、それこそ「自然に」ほとんど時間をかけずにできました。

B面に収録する "ウィークエンド" も決まって、2019年の夏の "A" で、7インチのプレスが出来上がる前にCD-Rをお持ちしたのですが、なんとその場で "サンキュー" をプレイしてくださって、居合わせた方からも

「ちゃんと Q.A.S.B. サウンドになっている♪」

と言っていただきホッとしました。


                ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


ところで、アレンジのプレッシャーはもちろんありましたが、それよりももっとプレッシャーだったのはヴォーカルの a,yu.mi. だったのは間違いないところで(ホントありがとう!!!)、メインヴォーカルだけでなくコーラスのメロディーライン(音程と譜割)を忠実に再現するのはめちゃめちゃ大変だったと思います。特に、全部で3回出てくる3声のコーラスが輪唱のように絡み合う箇所は、毎回パターンが少しづつ異なっていて、僕も譜面を起こして何度も確かめました。

ヴォーカルなしのデモを聴いていただいた時の小西さんの反応は正直それほどではなかったのですが、ヴォーカル入りのデモを聴いてくださった時は絶賛してくださった時はめちゃめちゃ嬉しかった・・・


そんなわけで秘話的なお話をしましたが、最後に7インチをリリースした時にありがたくも小西さんご本人からいただいたヴォーカル絶賛のコメントをこちらに再掲します。

そして、ピチカート・ファイヴの楽曲をカヴァーさせていただいたこと、そして今回のアルバムに収録を許諾していただいたこと、改めまして小西康晴さんに感謝申し上げます!

(全然「楽曲解説」になりませんでしたが。。。)


♪ ♪ ♪ ♪ ♪


あなたには希望の匂いがする。小西康陽

 ここ数年、ずっとヘヴィ・プレイしている「You Make Me Feel」という曲を作ったQ.A.S.B.が、じぶんがかつてやっていたピチカート・ファイヴの楽曲をカヴァーする、というアイデアを聞いて、じぶんは驚き、嬉しくなり、そしてすこし怖くなった。

 いちばん好きなバンドである彼らが、じぶんの作った楽曲を取り上げてくれるなんて、嬉しくてたまらない話だが、いっぽう、もし気に入らない出来だったらどうしよう、いつも本当にジェントルで優しいリーダーの石川さんや、素晴らしいヴォーカリストのa.yu.mi.さんたちと、ちょっとギクシャクした関係になってしまうのだろうか。そう考えると、やはり怖くなってしまうのだった。 

 だが、そんな心配は杞憂だった。「サンキュー」と「ウィークエンド」、どちらもじぶんにとってはつよく思い入れのある楽曲。「サンキュー」を作ったときの、全世界に対して「ノー・サンキュー」と言いたくなるような屈折した感情。あるいは「ウィークエンド」を作ったときの、まるで職業作家の仕事のごとく端正なものをつくった、という、うれしいような、面映いような感情。そうしたものはまだ、じぶんの中にはっきりとしたかたちで残っている。そんな作家の個人的な屈託を、彼らQ.A.S.B.はじつにあっさりと、うつくしく見事に乗り越え、じぶんたちの音楽にしている。

 とりわけ、ヴォーカリストのa.yu.mi.さんの歌う日本語の瑞々しさには驚き、彼女とこのバンドの将来に大きな可能性を感じた。たとえば「トワエモア」の白鳥英美子さんや「ハイ・ファイ・セット」の山本潤子さんなどに通じる清潔な日本語の発音を持ちながら、ファンキーなビート感を持つこのバンドのサウンドともしっかり寄り添っている。プロフェッショナルなソングライターなら、素材としての彼女とこのバンドに、なにか楽曲提供してみたい、と誰しも考えるに違いない。

 あなたに逢えてよかった、あなたには希望の匂いがする、というのは、かつて和田アキ子さんが歌った楽曲の一節だが、まさか大昔にじぶんの書いた楽曲を通して、そんな「希望の匂い」と出会うことになるとは。Q.A.S.B.には感謝するばかりだが、いまのじぶんにできることはそう多くはない。ひとりでも多くの人に聴いてもらいたい、彼らの音楽の素晴らしさを知ってもらいたい、と願うばかりだ。


■ Candy Dream (CD) お取り扱い

disk union

Tower Records 

amazon

HMV

山野楽器

芽瑠璃堂







2021年5月3日月曜日

イラストを描いてみたはなし

 こんにちは。トランペット担当のエチゴです。

みなさん、新しいアルバム「Candy Dream」楽しんでいただけておりますでしょうか。

僕がこのバンドに加入したのは2019年からなので今回が初のアルバム収録です。色んな楽しい場面に合うアルバムなんじゃないかなと思っています。

* * * * * * *

今日のおはなしですが、加入する前から個人的にQ.A.S.B.の楽曲はグルーヴの中にやさしい懐かしさと爽やかさがある曲が多いように思っていまして、80〜90年代はじめくらいにみられたグラフィカルなイラストが合うんじゃないかなと感じていました。

そこで、アルバムも出来たので僕の勝手な思いつきで、そんな感じのイラストを描いてみようかなと思い、まずは1枚描いてみました。


いろいろ練習や工夫は必要そうですが、なんだか良い感じに描けたような気がします。
描く過程をみるのも好きなので、タイムラプスにまとめてみました笑

誰に求められたわけでもない完全自己満足企画ですが、たまにはこんな企画も面白いんじゃないかな、なんて思っています。楽しんでくれる方がいれば嬉しいです。


2021年5月2日日曜日

新アルバム 『Candy Dream』発売されました!

鍵盤の Masa です!

 先週水曜日4月28日に通算5枚目のアルバム『Candy Dream』(CD)をリリースしました。録音していただいた Studio Dede さん、カヴァー楽曲の収録を快諾いただいた小西康陽さん、素敵なアートワークを手がけて下さった Yusuke Yoshinaga (solla Inc.) さん、演奏に参加してくださった Hiro-a-key さん、中里たかしさん、もちろんメンバーの皆さん含めて大勢の方々にお世話になりました。感謝申し上げます!

すでに色々な方々に聞いていただきましたが、前作『Thinking Of You』の時と同じく、人によってそれぞれ好きな曲が異なるというのが嬉しいです!


基本的には前作のエヴァーグリーンな Soul Music を継承していますが、前作が全てオリジナル楽曲だったのに対して、今作は2曲のカヴァー曲(ピチカート・ファイヴ「サンキュー」とロイ・エアーズ「Can't You See Me」)が収録されていること、そして前作では日本語歌詞が2曲だったのに対して、今作では「Can't You See Me」以外全て日本語歌詞ということで、さらっと一聴すると結構今までと違った印象を持たれるかもしれませんね!

そうそう、アナログ(LP) は出るのですか?とよく問い合わせいただきますが、お察しの通り、もちろんアナログを出す予定で動いております!

■ 

ということで、アナログが出来るまでの間、気が向いたタイミングで収録曲の楽曲解説を順不同でお送りしようと思います。

あまりのんびりしていると先にアナログが出てしまうかもしれませんが、そうなったらそれでも良いかと(笑)

では、一番最初に出来ていたということで、アルバム収録7曲目の 「The Sun And Moon」 という曲から始めたいと思います。実は初代ベーシストの kob さんの時代からよくライブで演奏していました。

さっさと録音してしまっても良かったのですが、ある考えがあって録音を先延ばしにしていました。

表題もしばらく日本語で「太陽と月」と呼ばれていていました。

拍子抜けするような至ってシンプルなドラムの8ビートで始まるこの曲ですが、不安気な雰囲気の前奏が続きます。

すぐに転調して始まる Aメロ(譜例1) も同じくアンニュイな雰囲気を引きずりますが、 Bメロ(譜例2)で一転明るくポップな展開。

(譜例1)

(譜例2)

Cメロ(譜例3)は解決せずに終わります。

(譜例3)


この3つのメロディはそれぞれに性格が異なっているのですが、実は同一のリズム(譜例4)がモティーフになっています。

(譜例4)

繰り返された後、リズムチェンジして前奏と同じコード進行でジャズ・ファンク風なシンセサイザーによるソロが展開されますが、その後に Bメロ(転調を含む)が再現。

その後に出てくる Cメロ(譜例5)は最初の Cメロ(譜例3) とベース進行は同じなのに(ドミナントセブンのテンションも含めて)コード進行が違うというトリッキーな展開を見せます。

同じ歌詞でも聞こえ方が随分と違うと思います。

(譜例5)


最後はもう一度リズムチェンジして前奏をモティーフとした別展開で終結。

           ■  ■ ■  ■ ■ ■ ■  ■ ■ ■ ■ 

アルバム収録曲の中でも構成も展開も作曲技法的にも複雑な部類に入る曲で、ポップでありながらジャズ・ファンク〜ラテン・フュージョンやAOR の要素も盛り込みかなりレア・グルーヴ度が高い曲だと思います。

歌詞も曲に合っていて、文節の最後にくる「て」という言葉が韻のように未解決感をうまく引き出しているのと、最後の Bメロでは次文節の冒頭に繋がっているところとか、非常に気に入っています。

改めて聴いていただけたら嬉しいです!

それではまた!

<歌詞>

The Sun And Moon 

(A)

グレーのベールが空を包んで

あなたは遠くの街を彷徨う

(B)

雲の切れ間に射す天使の光の様に

煌く眼差しを探して

(C)

通り雨に凍えてしまいそうな日も

いつか出逢える空に明日を描いて

(A)

グレーのベールが青に変わって

微笑むあなたを1人残して

(B)

照りつく陽を浴びて輝く女神の様に

ルージュの肌にkissを隠して

(C)

夕暮れに染まる水面に映る影は

紅の空に優しく包まれて

(B)

雲の切れ間に射す天使の光の様に

煌く眼差しを探して

照りつく陽を浴びて輝く女神の様に

ルージュの肌にkissを隠して

(C)

夕暮れに染まる水面に映る影は

紅の空に優しく包まれて



2020年12月31日木曜日

2020年を振り返って

代表の Masa です!

2020年も残すところ僅かとなりましたが、いつものように1年を振り返りたいと思います。


2020年という年はバンド結成15周年の年ということで、過去の Q.A.S.B. 在籍者の方も交えて記念ライブをやろう!と画策していたのですが、結局それどころかライブを一本もできなかった1年となってしまいました。。。


振り返る内容なんかないじゃないか!


となりますが、何もせず過ごしていたかというと、実はかなりの頻度でリハーサルに入っていて、楽曲制作やレコーディングに勤しんでおりました。


8月にレコーディングした楽曲たちは、前年に録音した曲の一部とともにアルバムとして来年2021年にリリースされる予定ですので、楽しみに待っていただけたらと思います!


* * * * *

さて、前述の通り今年のライブは一本もありませんでしたが、前年録音した曲の "貯蓄" 、そして RYUHEI THE MAN さん主宰の AT HOME SOUND さんのおかげで、リリースは7インチで5タイトル、また、来年リリース予定のアルバム収録曲から配信シングル2曲というなかなかのボリュームになりました。

(Q.A.S.B. の7インチは通算計21タイトル!)


ということで、リリースで1年を振り返ることにします。



* * * * *

2月 

品番:AHS-016

Never Stop Loving You (THE MAN 2020 RE-EDIT) / Never Did I Stop Dubbing You (THE MAN 2020 RE-EDIT) (7")

これは "The Mexican Part 1&2"  に次ぐ Ryuhei The Man さんとのコラボレーション2作目として 2014年5月にリリースした Alice Clark で有名な "Never Did I Stop Loving You" 、そしてインストバージョンとして Side B に収録した "Never Did I Stop Dubbing You" のカップリング7インチをリエディットとした7インチです。

最も精力的にアナログ・レコードを世に送り出している AT HOME SOUND さんから初となるリリースでもあります。

ちなみにインストの "Never Did I Stop Dubbing You" の曲名は、プロ御用達の高円寺のレコードショップ universounds で尾川雄介さん、RYUHEI THE MANさん、そして僕が頭を捻っていたところ、突然 RYUHEI THE MAN さんがボソッと言ったのを尾川さんが聞き逃さず「それいいじゃん!」 と言って決まりました。


3月

品番:SG-069 

Can't You See Me feat. Hiro-a-key / I'm In Love (7")


Roy Ayers - Can't You See Me  それに Nancy Wilson - I'm In Love 、ともに1978年にリリースされた Jazz〜Rare Groove の名曲をカヴァー・カップリングした7インチ。

原曲の音像はそのまま残していますが、"Can't You See Me" では日本を代表するマルチ・シンガー Hiro-a-key さんにスキャットとラップを入れていただくなど全面的にフィーチャー、また "I'm In Love" は原曲よりややテンポを速めてよりグルーヴィーなアレンジにしました。

ちなみにこの Q.A.S.B. 版 "I'm In Love" 、ライムスターの DJ JIN さんが The Room でプレイしてくれたことがあるのですが、僕は始まって15秒くらいまで Nancy Wilson のバージョンだと聞き違えていて、周りから、なんで自分の演奏に気づかないのか?と非難轟々でした(笑)。



6月

品番:SG-065 

The Jet Leg feat. Ryo Nakata (Osaka Monaurail) / Wolf (instrumental) (7")


念願のオーサカ=モノレールの中田亮さんを招いての記念すべき ”The Jet Leg” はもともとは "Welcome To This Floor" というサックスの Yuzo 作のインスト曲でした。

The Room だったか 乃木坂の Cactus だったか忘れてしまいましたが、オーサカ=モノレールのマネジメントをやっていらっしゃる鈴木さんに「中田さんは他のバンドで録音に参加することはあるんでしょうか?」と打診ところ、その場で「是非やらせてください」と即答いただきました。本人いないのに(笑)。

しかしながら、その後、曲を送って、シャウトしてほしい箇所を指摘したものの、その後取り立てて連絡もなくレコーディング日前日となってしまいました。

中田さんのことだから、きっと当日現場で色々アイディアを出してくださるんだろうなあと思って、夜10時くらいに風呂にでも入って寝ようかな・・・

と思っていたら、突然メッセンジャーに歌詞らしき文章がつらつらと送られてきて、それも、時折歌詞と関係ない独り言のような文章が混ざっていたり、うわ何じゃこりゃ!と思っていたら、途中から歌詞の意味など解説が入ってきて、しまいには「曲名変えたらアカんですか?」 と。 ”Welcome To This Floor" に愛着があったように思えたので、Yuzo 君大丈夫かな?と懸念してたのですが、「変えましょう!」と即答、曲名が "The Jet Leg" に瞬時に変わりました(笑) 中田さん、実はこんなにもレコーディングに向けて準備してきてくださったんだなと非常に感銘を受けました。本当にありがとうございました!

長くなるので書きませんが、レコーディングもまぁ面白かったです(笑)。


もう一曲の Wolf (Instrumental) も打っているラテンファンク・ダンサー。

9月

品番:AHS-025

NEXT MESSAGE FROM JAPAN (Mix CD)


番外編的ですが、RYUHEI THE MAN さんの Mix CD に "Get Down (DJ KAWASAKI DISCO RE-EDIT)" と上述の2月にリリースした "Never Did I Stop Loving You (THE MAN 2020 RE-EDIT)" の2曲が収録されています。


品番:SG-071 

Escape / Gotta Believe (7")


ヴォーカリスト a.yu.mi.  の19歳当時の心境を綴った"Escape!" という楽曲が原曲。

2年前のライブでこの曲を Q.A.S.B. 流にアレンジして演奏してみようとなった時にピンときたのが、ご存知 Elegant Funk の代表曲と言っても良い Dayton - The Sound Of Music でした。

マッシュアップ的なアプローチは個人的には楽しかったのですが、a.yu.mi.ちゃん的に大丈夫だったのか今でも少し不安(笑)

でも DJさんにもウケがよく、プレイされているようなので結果ヨシ!



カップリングの "Gotta Believe" もライブでお客さんがよく踊ってくれる曲です。


11月

Candy Dream(ストリーミング配信)


所謂 シティポップ、シティソウルの流れにある曲。

a.yu.mi.ちゃんと歌詞のやり取りをしていたのが去年の春だったと思うので、もう1年半も経ってしまいました。

というか、いつもアイディアを思いついた時に吹き込んでいる iPhoneのボイスメモを辿ってみたら、この曲のスケッチ(断片)は2015年にまで遡ることがわかりました。


12月

品番:AHS-041

Escape (RYUHEI THE MAN ELEGANT DISCO RE-EDIT / THE SOUND OF THE MAN RE-EDIT) (7")


こちらは上述の "Escape" をRYUHEI THE MAN さんが、DJ仕様に大胆にインスト・アレンジした Elegant Funk ならぬ Elegant Disco Re-Edit。

ジャケットが本家の Dayton - The Sound Of Music と瓜二つなのも大胆!


The Sun And Moon (ストリーミング配信)


この曲は シティポップでもビートがロック寄り、でも途中、ラテン的なジャズ・ファンクに変わり、その後ビートが行き来して、非常に忙しいですが(笑)、個人的には最もレア・グルーヴ色の強い曲だと思っております。



以上、リリースで振り返る 2020年でした!


来年もコロナ・ウィルスは予断できない状況ですが、アルバムのリリースもありますので、是非ともライブで皆さんにお会いしたいと思っております。


よろしくお願いします!


Q.A.S.B. Masa